Steamworksでサウンドトラックを登録していると、リリースチェックリストやパッケージ設定の画面で、
「サウンドトラックパッケージには1つ以上のオーディオデポを含める必要があります」
という警告が表示されることがあります。
これは、サウンドトラック商品として登録しているにもかかわらず、その商品に音楽ファイルを配信するための「オーディオデポ」が紐づいていない状態を意味します。

簡単にいうと、Steam側から見ると「サウンドトラックとして販売する箱はあるが、中に入れる音楽ファイルの置き場が設定されていない」という状態です。
Steamworksのパッケージとデポの違い
この警告を理解するには、まず「パッケージ」と「デポ」の違いを押さえる必要があります。
パッケージとは、購入者にどの権利を渡すかを決めるためのものです。
たとえば、ゲーム本体を購入した人にゲーム本体を渡す、サウンドトラックを購入した人に音楽ファイルを渡す、といった販売上のまとまりです。
一方、デポとは、実際にユーザーのPCへダウンロードされるファイルの置き場です。
ゲーム本体のデータ、DLCのデータ、サウンドトラックの音源ファイルなどは、デポに入れて管理します。
つまり、Steamでサウンドトラックを販売する場合は、
| 項目 | 役割 |
|---|---|
| パッケージ | 購入者にサウンドトラックを渡すための販売上の箱 |
| デポ | 実際のMP3やFLACなどの音楽ファイルを入れる場所 |
という関係になります。
パッケージだけ作っても、そこに音楽ファイル用のデポが含まれていなければ、購入者はサウンドトラックをダウンロードできません。
警告が出る原因
「サウンドトラックパッケージには1つ以上のオーディオデポを含める必要があります」という警告は、サウンドトラック用のパッケージに、オーディオデポが含まれていない場合に表示されます。
Steamの公式ドキュメントでは、サウンドトラックの最低限必要な内容として、アルバムカバー画像、MP3形式のサウンドトラックオーディオを含む単一のデポ、基本メタデータが挙げられています。(Steamworks)
つまり、サウンドトラックとして登録する以上、少なくともMP3音源を含むデポが必要です。
この警告が出る典型的な原因は、次のようなケースです。
- サウンドトラックアプリは作成したが、まだ音楽ファイルをアップロードしていない
- 音楽ファイル用のデポは作成したが、ストアパッケージに含めていない
- デポを作っただけで、ビルドをライブにしていない
- DLCからサウンドトラックに変換したが、オーディオデポの設定が未完了
特に分かりにくいのは、「音源をアップロードしたつもりでも、パッケージにデポが含まれていなければ警告が残る」という点です。
サウンドトラックにはMP3デポが必要
Steamのサウンドトラックでは、標準のMP3形式の音源を含めることが必須とされています。
WAV、FLAC、AACなどの高品質ファイルを追加することはできますが、必須のMP3を削除することはできません。
そのため、まず用意すべきなのはMP3音源です。
FLACやWAVだけを用意している場合でも、Steam上のサウンドトラックとしてはMP3デポが必要になります。
高品質版を追加したい場合は、MP3デポとは別に、FLACやWAVを入れる追加デポを作成する形になります。
直し方
この警告を解消するには、サウンドトラック用のオーディオデポを作成し、そのデポをサウンドトラックのストアパッケージに含めます。
基本的な流れは次のとおりです。
- Steamworksでサウンドトラックアプリの管理画面を開く
- Steamworks設定を編集する
- SteamPipeのデポ設定を開く
- MP3ファイルを含むZIPファイルをアップロードする
- デポの内容を確定する
- ビルドをライブに設定する
- ストアパッケージにそのデポが含まれているか確認する
アップロード後はデポの内容を確定し、SteamPipeのビルド画面でデフォルトブランチにライブ設定する必要があります。

ここで重要なのは、アップロードだけで終わらせないことです。
Steamでは、デポにファイルをアップロードしただけでは、顧客向けに配信されません。
新しいデポ内容を参照するビルドをライブに設定する必要があります。
高品質音源を追加する場合
MP3に加えて、FLACやWAVなどの高品質音源を配信したい場合は、追加のデポを作成します。
Steam公式ドキュメントでは、2個目のデポを作成し、そこにFLACやWAVなどの高品質・ロスレスファイルを保存することが推奨されています。
これにより、ユーザーは通常のMP3に加えて、ロスレスファイルをダウンロードするかどうかを選択できます。(Steamworks)
ただし、高品質音源はあくまで追加要素です。
最低限必要なのはMP3を含むオーディオデポです。
下記の順番で進めるとわかりやすいです。
- 最初にMP3デポを正しく作成
- 警告が消えることを確認
- FLACやWAVの追加デポを設定
DLCとして作ったサウンドトラックとの違い
以前は、ゲームのサウンドトラックをDLCとして販売するケースもありました。
しかし現在のSteamでは、サウンドトラックはDLCとは異なる専用のアプリ種別として扱われます。
サウンドトラックとして登録すると、ゲーム本体を持っていないユーザーでもサウンドトラックを購入できるようになったり、音楽ファイルがゲーム本体のインストールフォルダではなくSteamライブラリの音楽フォルダに保存されたりします。
そのため、音楽だけを販売・配信したい場合は、通常のDLCではなくサウンドトラックアプリとして設定する方が自然です。
ただし、DLCからサウンドトラックに変換した場合は、変換後にオーディオデポのアップロードやSteamworks設定の公開が必要です。
警告が消えないときに確認するポイント
音源をアップロードしたのに警告が消えない場合は、次の点を確認します。
まず、サウンドトラック用のデポが本当に作成されているかを確認します。
次に、そのデポがストアパッケージに含まれているかを確認します。
デポを作っただけでは、購入者に配信されません。購入者が取得するパッケージの中に、そのデポを含める必要があります。
さらに、ビルドがライブになっているかも確認します。
アップロード後にビルドをライブにしていない場合、Steam側ではまだ配信可能な状態になっていないことがあります。
最後に、Steamworks設定そのものを公開しているか確認します。
まとめ
「サウンドトラックパッケージには1つ以上のオーディオデポを含める必要があります」という警告は、サウンドトラックの商品パッケージに、音楽ファイルを配信するためのオーディオデポが含まれていないという意味です。
サウンドトラックとしてSteamで販売するには、少なくともMP3音源を含むデポが必要です。
そのうえで、デポを作成し、音源をアップロードし、ビルドをライブに設定し、ストアパッケージにそのデポを含める必要があります。
このエラーは、Steamworksの仕組みを理解すれば難しいものではありません。
パッケージは「購入者に渡す権利の箱」、デポは「実際にダウンロードされるファイルの置き場」です。
サウンドトラック商品を作る場合は、この箱の中に、必ず音楽ファイル用のデポを入れておく必要があります。

