企業系攻略サイトはなぜ害悪なのか?

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昨今、企業が運営するゲーム攻略サイトは質が悪いと聞くことがあります。今回はなぜそう言われてしまうのかをゲーム攻略サイトの歴史から紐解いていきましょう。

この記事では、個人が運営している攻略サイトを個人サイト、攻略wikiをwiki、企業が運営している攻略サイトを企業系攻略サイトと呼ぶことにします。

まずこの問題は社会の流れだと私は考えています。

企業系攻略サイトはなぜ害悪なのか?

企業系攻略サイトがなぜ害悪なのかと言うと、Googleの検索アルゴリズム上個人サイトやwikiよりも上位に表示されてしまうからです。その事自体は特に悪いわけではないのですが、企業系攻略サイトは複数のゲームを総合的に取り扱っている点で問題が発生します。取り扱うゲームにはロングセラーのものや新規タイトルなど様々です。

しかし全てのゲームを丁寧に攻略解説しているわけではなく、人気のあるゲームは懇切丁寧に、そうじゃないゲームはいい加減に解説されております。

この事に関してガンホーの山本大介プロデューサーも憤っておりました。

検索順位至上主義

特に問題となっているのが、発売前のゲームのサイトだけを作っておいて検索順位をあげる行為です。そのゲームの人気が出れば更新は継続されるのですが、人気が出なければ早々に更新が止まり廃墟になってしまいます。

しかし企業系攻略サイトは検索に強いのでゲームタイトル攻略で検索した場合、その廃墟となったページが上位に表示されます。一方、丁寧に解説してあるWikiや個人サイトが検索から埋もれてしまうという現象があります

更新が止まるとオワコン

このことがユーザー心理にどのような影響を与えるのでしょうか?ユーザーにしてみればそのゲームはオワコンであると認識してしまいます。ソーシャルゲームは特に誰かがやっているから自分もやるという人が大半です。

企業系攻略サイトがそのゲームのページを更新し続けていれば人気のあるゲームと認識され、更新がなくなれば面白くないゲームと認識されてしまいます。裏を返せば、ユーザーが人気あるゲームと認識したらそのゲームは人気がでるのです。運営にはコストもかかるので人気がなくなればそのゲームは終了せざるを得ません。つまり、企業系攻略サイトがそのゲームのページを更新し続けていればそのソーシャルゲームは継続運営ができる、しなければ終了するといった風に、企業系攻略サイトのさじ加減でソーシャルゲームの寿命が決まってしまうというのが今の状態です。

しかしこの話を聞いて疑問に思う方も多いのではないでしょうか?「自分の見ている企業系攻略サイトはしっかり更新しているぞ」と思う方も多いはずです。

この問題が認識されにくい圧倒的な理由

というのもユーザーの大半は一般ユーザーで、既に人気のあるゲームだけをプレイしています。よほどのゲーマーでなければ評価の定まっていないゲームをプレイしようとは思いません。一般ユーザーはすでに評価が定まっており、面白いとされているゲームを好んでプレイします。特に娯楽が溢れている現代では、一般ユーザーがあれこれゲームを漁るようなことはまずありません。

つまり、一般ユーザー=人気のあるゲームしかしない、ということです。一般ユーザーにしてみれば、企業系攻略サイトは自分の欲しい情報を網羅している優良サイトに見えます。一方、マイナーなゲームを楽しむコアゲーマーからすれば、企業系攻略サイトはいい加減な攻略情報しかあげてない害悪サイトと認識されています。

その結果人気のあるゲームはずっと人気になり、新規の人気タイトルが現れなくなりました。

企業系攻略サイトはなぜ生まれたのか?

皆様もゆっくりで身に染みていらっしゃると思いますが、儲かるからです。ただ歴史を見れば企業が個人に駆逐された時代もあります。

30代以上の方は思い出があると思いますが、インターネットがない時代は出版社が出す攻略本が最大のゲーム情報でした。その後、個人サイト・ブログが隆盛するにつれ、攻略本は次々に廃れていきました。これが2000年代前半です。ITバブルの時期ですね。この時期はブログや個人サイトがめちゃくちゃ稼げました。バナー広告が1回表示されるだけで1円もらえたりしました。もちろん無償で攻略サイトを作っていた方もいるかと思いますが、アフィリエイト収入を得ていた方もたくさんいるわけです。

その後、個人サイトも収入だけを目当てにして、質の悪い情報を上げる輩が大勢出てきで問題になりwikiが誕生しました。

結局このときも、アフィリエイトでwikiを収益化している人もたくさんいたわけです。無料でやっていた人たちもいますが、やはり無料で何かをし続けるのは不可能です。無料で更新し続けていた人たちが息切れする間に、収入を得ていた人たちは記事を外注し、管理者を増やし組織化けするのです。それの流れが現在の企業系攻略サイトにつながっていくのです。

結局この流れはゲームの攻略に限らず社会における当然の摂理です。古く言えば家族単位で狩猟採集を行っていたのが集団化し、構成員が増えるにつれて物の交換価値が生まれ、貨幣ができ経済化します。これを集団化・組織化といいます。

イノベーター理論の視点から

次にイノベーター理論から見ていきましょう。イノベーター理論についてはこちらの記事に詳しくありますのでご覧ください。

イノベーター理論

ざっくり言うと、最初は革新的な人が集まるが、徐々に保守的な人が集まってしまうことで、革新的な人たちはいなくなり、その結果、つまらない人達が残ってコンテンツが衰退する、という理論です。

ゲームの攻略サイトに関しても似たような面がありますよね。すでに先進的なプレイヤーはYouTubeに移ったと思われます。そしてまたYouTubeでも最初は個人でやっていたものが雑用をする人を雇ったり、プレイヤーを増やしたりして集団化・組織化するわけです。

それを見て、情熱はないけど儲かりそうだからと入ってくる企業が大量につまらない動画を投稿し、コンテンツ自体が衰退するというのがいつもの流れです。

解決案

さてこの問題の解決案ですがすでにGoogle(アルファベット)が手を打っています。それは皆様もよくご存知のYouTubeですね。

YouTubeでは検索よりもコンテンツの関連性が重視されています。YouTubeでは動画ごとにYouTube側が決めたスコアが存在し、それが高いほどを上位に表示されるようになっています。このアルゴリズムは公開されていませんが、Google検索に比べればずっと信憑性が高いです。

「じゃあGoogle検索も早くそうしろよ」と思われるかもしれませんが、Googleのようにインフラ化明日サイトが急にアルゴリズムを変えると公正取引法違反になってしまいます。直近では”ぐるなび”のアルゴリズム変更が有罪と認定されましたね。なので、アルファベットの方針としてGoogle検索はこのまま、新しいアルゴリズムはYouTubeと分けていくと考えられます。

私の意見は

  • Google検索に頼らない
  • 目的に合ったプラットフォームに移動する
  • 投稿者自身にファンをつけること

これらが根本的な解決策だと思います。まあ、いつも結論は同じですけどね(笑)