今回は弁護士の懲戒請求について解説していきます。
懲戒請求は誰でもできる
弁護士に対する懲戒請求は依頼者、相手方に限らず誰でもすることができます。
弁護士は個人情報の照会など特権が付与されており、準公人として扱われます。故に一般市民から監督される立場となります。
【弁護士法 第58条第1項】
何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。
ここでいう「思料」とは「そう思う」程度の意味です。
懲戒処分の対象となる行為
実際に懲戒処分となった例をあげていきます。
- 口頭弁論で相手方弁護士から侮辱的な表現をされた
- 裁判に無断で欠席した
- 裁判で遅延行為をした
- 裁判外で被告の信用情報を漏洩させた
- 裁判外で被告に侮辱的な表現をした
近年ではネット上での情報漏洩が原因となる処分が目立ちます。匿名であっても、相手方が自分だとわかれば懲戒処分の対象になります。
「日本弁護士懲戒処分検索センター」にて弁護士の懲戒歴を検索できます。
http://shyster.sakura.ne.jp/
懲戒請求の手順
先述の弁護士法 第58条第1項に従い、懲戒相当と思う理由を添えて、所属弁護士会に郵送で提出します。提出形式・部数は弁護士会ごとに異なるので問い合わせてください。
記入項目
記入する項目は以下の3つです。
- 懲戒請求者の氏名・住所・電話番号
- 懲戒請求対象の弁護士氏名・事務所・住所
- 懲戒を求める事由
【参考】
大阪弁護士会の懲戒請求書
https://www.osakaben.or.jp/01-aboutus/claim/chokai/pdf/chokai01.pdf
千葉県弁護士会の懲戒請求書
https://www.chiba-ben.or.jp/118c9da5646570659eb811dbb6b55fe1fc1bac2d.docx
懲戒手続きの進み方
ここからは弁護士会内部の話なので私達には関係ありません。
懲戒請求を受けた弁護士会は各委員会を結成します。
綱紀委員会
内容を調査・審査して懲戒委員会にかけるかどうかを決定します。
懲戒委員会
懲戒の内容を決定します。
懲戒は軽い方から、戒告、業務停止、退会命令、除名です。
決定に不満があるとき
懲戒されない、処分が軽いなど不満があるときは日弁連(日本弁護士連合会)に異議申し立てが可能です。
日弁連の決定にも不満があるときは訴訟になります。
むやみにやってはいけない
懲戒請求はやたらにしてはいけません。過去には不当な懲戒請求をした者に対し、30万円の賠償命令が下されたこともあります。また橋下弁護士は光市殺人事件の弁護団への懲戒請求を扇動したとして敗訴しています。
参考リンク
https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2016_01/p04-15.pdf



