今回は行政書士が行う著作権業務について解説します。
著作権相談員
文化庁作成のテキストをもとに研修を行います。研修後の試験に合格すると著作権相談員として認定され行政書士会の著作権相談員名簿に登録されます。
※著作権相談員に登録されなくても著作権業務は可能です。
行政書士の行う著作権業務
行政書士の行う著作権業務は主に調査と登録です。
調査
他人の著作物を正当に利用するための行われます。著作物が、保護期間内にあるものか?現在の権利者は誰か?を調べます。その後、利用許可の交渉をしクライエントが安全に著作物を利用できるようにアドバイスします。ちなみに著作権の保護期間は死後70年です。クラシック音楽が自由に使えるのは保護期間が切れているためです。
権利者不明等の理由により、利用許諾が得られないときは、補償金を供託して著作物を利用することも可能です(文化庁長官の裁定が必要)。
登録
権利保護や権利の適正な利用を確保するために著作権の登録を代理します。著作権は、著作物の創作等と同時に「自動的に発生する」ものですが、著作権関係の法律事実の公示や、権利が移転した場合の取引の安全を確保するために著作権法に基づく登録制度があります。
著作物を作成しただけでは登録できず、公表・譲渡が条件となります。
主な著作権の登録先は以下のとおり。
- 著作権:文化庁
- プログラム:(財)ソフトウェア情報センター
契約
知的財産利用許諾の契約を締結し契約書を作成します。契約に主に譲渡契約・利用許諾契約があります。金額だけではなく詳細条件をいかに詰めることができるかが鍵です。
著作権管理事業
著作物の管理も可能です。著作権者から信託を受けその著作物を利用したい人の窓口となります。著作権管理事業を行う場合は文化庁に登録する必要があります。
登録できる知的財産
それぞれ登録すると以下の権利を得ます。
業として販売等の権利を独占できる。
登録者以外が業として行う場合は許諾が必要となる。
著作権
根拠法令:著作権法
創作物に発生します。作成した時点で自動的に著作権者となりますが、登録のためには公表・譲渡が必要です。
品種登録
根拠法令:種苗法
品種登録は植物の品種の保護を行う種苗法に基づく制度です。新品種を育成した者には育成者権が与えられます。文化庁へ品種登録します。
回路配置利用権登録
根拠法令:半導体回路配置保護法
回路配置利用権は半導体集積回路の回路配置に関する知的財産です。回路配置の創作をした者はその回路配置について回路配置利用権の設定の登録をすることができます。
GI(Geographical Indication)制度
各地方における特別の生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性により、高い品質と評価を獲得するに至った産品が多く存在しています。これら産品の名称(地理的表示)を知的財産として保護します。
産業財産権での登録
特許権・実用新案権・意匠権・商標権を産業財産権といいます。これらの設定は弁理士業務ですが、設定後の登録料の納付、権利移転、住所移転登録などの手続きをすることが可能です。
ただ、行政書士資格をもつ弁理士も多く、行政書士実際の業務受けることは少ないです。
例)夕張メロン、八丁味噌、西尾の抹茶、壱岐焼酎、球磨焼酎、薩摩焼酎、琉球泡盛
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