ふりーむコンテストによせて

コラム

遅くなりましたがふりーむコンテスト参加者の皆様お疲れ様でした。また、運営の皆様今までありがとうございました。今回でコンテストが終わってしまうということで残念ですが、やむを得ないのかなとも思いました。

ふりーむ様の終了に関するコメントについて考察します。

 

当コンテストは約14年前に「知名度のない個人でもチャレンジできる評価の場」として、フェアネスを重視した審査ポリシーでスタートしました。

14年前というと2005年ですね。動画サイトもツイッターもない時代です。mixiがかろうじてスタートしたあたり。東方花映塚が頒布された年です。上海アリスもまだ島サークルだったと聞いています。三月精のスタートもこの年です。そう考えると同人ゲームはイベントでしか入手できず、同人ショップでも一部の有名サークルのものしか置いてなかったようです。

私が同人に入ったのは2008年です。このときはニコニコ動画で東方が流行り始めたときです。ここから”ゲームってひとりでつくれるの?じゃあやってみよう”となった方も多いのではないでしょうか?それ以前はフリゲどころか個人開発ゲーム自体が注目されない時代です。そう考えるとふりーむコンテストが果たした役割は大変大きかったと思われます。

フェアネスというキーワードからも理念が伺えます。ここでいうフェアネスとは人気、お金などなどゲームの面白さとは離れた評価基準を排除するという意味だと思われます。商業ゲームだと面白くなくても広告を打ったり有名声優を起用することで売上が上がったりしますよね。非常に強いポリシーのもとでこのコンテストが行われたと推測されます。

 
 
コンテスト規模が大きくなり種々多様なご要望が増え、全参加者への高い配慮が必要な傾向が高まりました。


 

これは仕方ないですね・・・規模が大きくなると色々と管理が大変になります。一つメールを送るだけでも大人数に向けなければならないし、その返信も膨大な量になります。企業として拡大は必然です。ただ、ふりーむ様は有限会社ですので、株主の拡大要求はなかったと思われます。それを踏まえると意図せず、予想を超えてコンテストが拡大してしまったのではないでしょうか。

主たる要因はゲーム開発のハードルが下がったから。今ではUnityに代表されるように高度なプログラミングなしでもゲーム開発ができます。またゲームエンジンも充実し高品質なゲームが多く作られるようになりました。

他には素材サイトの充実、アセットが簡単に手に入るようになったた。通信回線の強化などが考えられます。 2005年時点では想像もつかなかったことです。



 
個人時代としての流れの中で、「評価の場」としての位置づけとは異なるご要望が増え、当コンテストではお応えすることが難しい部分も増えました。


問題はここです。”評価の場とは異なる要望”とは何か?私の考えですが、”権威付け”としての要望が増えたのではないかと。2005年当時、フリーゲームはあくまでもフリーゲームでした。しかし近年はその意味も異なり、極端な話、ソーシャルゲームもフリーゲームに分類されます。また、フリーといいつつも任意対価(投げ銭)を要求するものも増えています。任意対価を求めるものは純粋なフリーゲームではないですし、コンテストの理念からも外れていると思われます。

ふりーむ様としても有償化への流れは扱いが難しいのでしょう。”ふりーむコンテスト受賞”は絶好の広告材料になります。ふりーむで賞をとってから有償化するというゲームも少なからず見受けられました。上記の理念を踏まえるとこのような意図は”フェアネスに基づく評価の場”から外れていると考えられます。

しかし、そういうゲームはクオリティが高いため安易に落選させるわけには行きません。特別賞を与えるなどの配慮が必要になってしまったのではないかと思いました。

このように考えると”シリーズ物は控えてほしい”という要請も納得できます。シリーズ物は当初フリーでも後々有償化する場合が多く、出展作品は削除できないというレギュレーションと対立するからです。

また、昨年のコンテスト後に”俺のゲームがなぜ受賞しなかったのか理由を教えろ”という要望があったそうです。審査基準が明確でない以上、納得できない部分が出てくるのは当然です。しかしながら審査員に文句を言ってはいけません。

これらは投稿者の低年齢化(すべての低年齢者というわけではないけど)とともに、大規模化に拠る弊害です。おそらく当初の規模だったら各参加者にきめ細かい対応(評価)をしていたのだと思われます。私自身が出展した経験によると、序盤だけを遊んで評価しているという印象を受けてしまいました。その上、内容に対しアドバイスされるとなかなか受け入れがたいものです。※今年はシステム面のアドバイスに終始していた。※第一回コンテストはアドバイスが公開されておらずメールでのやりとりと思われる。

会社規模や人員を考えるとこれ以上の継続は難しかったのかもしれません。

 

ひとまずは長い間運営お疲れ様でした。そして、ここまでフリーゲーム界を牽引して頂きありがとうございます。再開を希望する声は多いと思いますので、また何かイベントがあったら嬉しく思います。

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